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【架け橋通信Vol.83】台湾ニュース〜鴻海の高雄工場新設と現市長〜/コラム:小琉球迎王祭part1

目次

◆ 特集 「高雄ってどんなところ?鴻海AI工場新設と『野菜売り』韓市長」

◆    コラム:小琉球迎王祭part1

◆ 5月の注目ニュース


◆ 特集 「高雄ってどんなところ?鴻海AI工場新設と『野菜売り』韓市長」

鴻海の高雄工場設置

 中米の摩擦が過熱する中、台湾では鴻海が高雄に工場を設置するというニュースが各メディアで大々的に報じられ話題を呼んだ。このニュースは日本でも報道され、企業誘致を積極的に推進する韓國瑜市長の名がさらに知れ渡ることになっただろう。
鴻海が工場を置く高雄とはどのような場所なのか。戦前の歴史や現市長の取組みも含め紹介していきたい。

▲鴻海、高雄市の記者会見 台湾導報より

高雄基本データと歴史

 内政部統計処の「各県市主要内政統計指標順位」によると、2017年末までに登記された高雄市人口は2,776,912人で、台湾で3番目に人口が多い都市である。

 台湾は戦前オランダ、鄭成功、清朝、日本に統治され、戦後は中華民国により接収されるなど、当時の強国に支配され影響を受けてきた歴史がある。台湾の南部に位置する高雄は原住民の言葉で「Takou」と呼ばれていたが、その後の支配者の転換伴い「打狗(Da gou閩南語系)」、「高雄(日本)」と改称された。

 1624年からオランダの東インド会社が台湾南部を制圧し、高雄港はその拠点とされた。その後1662年から始まった清朝統治時代は、行政機関が台南に設置され、隣接する高雄市は漁業・農業で栄え、高雄港も商業港として機能するようになった。そして、1855年アメリカの投資により、高雄港は近代化され、国際貿易港としてさらなる発展を遂げている。
今の台湾から想像し難いが、少し昔の台湾の中心は北部ではなく南部にあったのだ。

 

工業・輸出の港、高雄

 日本統治時代になると首都は台北に移され、台湾の主要港は基隆港となったが、日本総督府は積極的に高雄港建設を推進し、港湾整備のほか鉄道建設、都市計画などを実施し、石油精製、機械、造船、コンクリート等の工業を誘致した。

 1945年中華民国に接収された台湾では、これまで輸入していた製品を国内生産により自給化する「輸入代替工業化」が推進され、1960年代には輸出指向工業化に転換し、工業と輸出が強化されてきた。そして、2005年高雄港は自由貿易港区となり、2013年には世界第13位の港湾に成長している。

高雄港灣集結中了大型觀光與文化公共建設,陸續完工後將形成「亞洲新灣區」。(圖/高雄市政府都市發展局提供)
▲高雄港 高雄市政府新聞局より

ディズニーランドを誘致を謳う韓國瑜高雄市長の誕生

 台湾では、親中の国民党、台湾独立または台湾人アイデンティティーを重視する民進党の二政党が台頭しており、一般的に台湾南部は民進党支持者が多い傾向がある。高雄市もかつては民進党の強いエリアだったが、2018年11月24日に投開票された市長選で、自らを「CEO市長」や「野菜売り男」呼び、「高雄を台湾で最も豊かな市にする」、「高雄にディズニーランドを誘致する」と、わかりやすく謳った韓国瑜が圧倒的な支持を得て当選した。韓市長は、企業誘致強化や蔡総統就任後減少した中国人観光客の改善等、中国との経済発展を重視した取組みを強調し、SNSや動画を活用した選挙戦略で20年ぶりに国民党が高雄市において返り咲くという快挙を果たした。そして、就任からわずか3か月で鴻海のAI工場設置を獲得しており、さっそく成果を上げている。
選挙中に掲げていたディズニーランドの誘致は成功するのか。現政権の行方と2020年の大統領選挙も踏まえ、今後の高雄の動きに注目していきたい。

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▲韓國瑜オフィシャルページより

 

<参考URL>
◎内政部統計処の「各県市主要内政統計指標順位」
https://www.moi.gov.tw/files/site_node_file/7608/106%E7%B8%A3%E5%B8%82%E6%8C%87%E6%A8%99.pdf
◎「高雄 (1)―台湾の産業と経済を支える港湾都市」『交流』日本台湾交流協会(2016年4月)https://www.koryu.or.jp/Portals/0/images/publications/magazine/2016/4/04_04.pdf
◎台湾港務株式会社 https://www.twport.com.tw/jp/cp.aspx?n=8B4C751BE98B1D27
◎野菜売り男CEO韓国瑜 https://richkh.tw/

<メディア報道>
◎鴻海、台湾高雄にデータ関連機器の工場建設(日経 3/17)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42582610X10C19A3FF8000/
◎高雄市、鴻海と提携 AIやスマート農業推進、経済振興狙う/台湾(中央社 3/18)
http://japan.cna.com.tw/news/aeco/201903180004.aspx
◎高雄の経済発展について(工商時報 2018.12/7)
https://m.ctee.com.tw/expert/e79cfd37/10506
◎高雄市長選、韓国瑜氏が初当選 国民党が20年ぶり返り咲き/台湾 (フォーカス台湾 2018.11.24)
http://japan.cna.com.tw/news/apol/201811240009.aspx
◎韓国瑜「ディズニーランドを高雄へ」「いかなる苦労も厭わない
https://news.tvbs.com.tw/local/914384

 

◆コラム:小琉球の信仰と小琉球迎王祭

 以前vol.81で小琉球での旅行体験を執筆しましたが、今回は小琉球の文化・宗教的行事である「小琉球迎王祭」を2回に分けてご紹介します。第一回は「小琉球迎王祭」を行うに至った由来や儀式、主体となる廟の成り立ちをお伝えしたいと思います。

 台湾旅行の経験がある方はご存知だと思いますが、台湾ではいたるところに道教や民間宗教の寺院・廟があり、街中を歩いているといくつも目にすることができます。2018年の報道によると、台湾全土の寺院はすでに1万宇を超えており、小琉球のある屏東県や、台南、高雄は台湾の中でも特に寺院の多い県市で、台北の5~8倍にもなるそうです。

 小琉球は、面積6.8平方キロメートルと小さな島ですが、大小合わせて90以上もの寺院・廟があり、より島民に身近で、生活の中に溶け込んでいるようでした。道教や民間宗教の寺院・廟では、神様が街中を練り歩く等、1年を通してさまざまな宗教行事が行われますが、行事によって期間や主旨が異なります。

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▲台南・普濟殿

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▲神に尋ね事をしている様子

 今回私が紹介する「小琉球迎王祭」は、小琉球の二大公廟の一つの「小琉球郷三隆宮」が主体となり三年(丑、辰、未、戌の年)に一度、七日間行なわれる大規模なイベントです。毎回新暦の10月に開催されることが多いですが、開催日は毎回神々の示しを賜わり、決定されています。このお祭りは、代天巡狩の王爺が土地を練り歩き、王爺の神威でその土地における祟りや疫病・伝染病などの邪悪な物を排除し、人々が平安と健康を願う事を目的としています。本島在住の島民もこの行事に参加するために島に戻ってくるそうで、島民にとって「小琉球迎王祭」が彼らの生活に欠かせない宗教的行事だということがわかります。

 このように小琉球にたくさんの寺院・廟が建てられたり、島民が宗教的行事を重要視している背景には理由があります。それは、海に囲まれた小琉球は昔から漁業を生業としており、危険の伴う仕事だったため、島民は日ごろから漁の安全を寺院・廟でお祈りをするのが習慣となっていたからです。

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▲小琉球の漁港

 琉球郷三隆宮の神様は、池府、吳府、朱府の三つの姓を持つ王爺で「三府千歲」と呼ばれています。清乾隆初(1736)年に福建省の陳明山という人物が三千歲王爺を連れて船で小琉球に行き、そこで建てたお寺が今の三隆宮の始まりと伝えられています。今もなお多くの漁民が漁に出る前に三隆宮へ祈願に訪れます。

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▲三隆宮

 小琉球の迎王祭典祭は、下記のスケジュールで執り行われています。

1日目 巡港腳,清水,請王,過火 (王爺を迎える儀式)

2日目 大寮角繞境(大福村) (大寮角での練り歩く儀式)

3日目 天台角繞境(天福村,南福村) (天台角での練り歩く儀式)

4日目 杉板路角繞境(上福村,杉福村) (杉板路角での練り歩く儀式)

5日目 白沙尾角繞境(本福村,中福村,漁福村) (白沙尾角での練り歩く儀式)

6日目 遷船,王船繞境全島 (船を運び出し、王船と共に練り歩く儀式)

7日目 恭送王駕,燒王船 (王爺を見送る儀式)

 1日目は神々を迎える儀式、2日目から5日目までは小琉球の決められた場所を神様が練り歩き、6日目には王船と共に全島全体を練り歩きます。最終日には王爺を海まで送り、王船を燃やす儀式を行います。

 私は最終日の王船を燃やす儀式を見学したので、次回はその様子を詳しく紹介したいと思います。

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王船

 参考資料リンク
https://www.dbnsa.gov.tw/Festival-Content.aspx?Lang=1&SNo=03001990
全台宮廟1.2萬 南高屏列前三名(蘋果日報 4/21)
http://m.home.appledaily.com.tw/article/realtimenews/20180421/1337960/rtn/%E5%85%A8%E5%8F%B0%E5%AE%AE%E5%BB%9F1.2%E8%90%AC%E3%80%80%E5%8D%97%E9%AB%98%E5%B1%8F%E5%88%97%E5%89%8D%E4%B8%89%E5%90%8D

◆ 5月の注目ニュース

■経済
◎台湾GDP2.2%増横這い、貿易戦争による経済構造の調整も(中時 5/10)
https://www.chinatimes.com/realtimenews/20190510001597-260410?chdtv

◎4月輸出額減少、6か月連続マイナス(中時 5/8)
https://www.chinatimes.com/newspapers/20190508000545-260110?chdtv

◎高雄直近4か月の投資額500億元越え(中時 5/28)
https://www.chinatimes.com/newspapers/20190528000315-260204?chdtv

■マーケット
◎台湾株式市場下落、統一企業は値上がり(聯合報 5/14)
https://udn.com/news/story/7251/3811315?from=udn-catelistnews_ch2

◎台湾株100点下落、ジャイアント、MERIDAは値上がり(聯合報 5/13)
https://udn.com/news/story/7251/3809804?from=udn-catelistnews_ch2

■企業
◎美利達・電動自転車輸出量前月比46%増(中時 5/10)
https://www.chinatimes.com/realtimenews/20190510001591-260410?chdtv

◎エヴァ航空ストライキ、労働組合監査院に桃園労働局への調査要求(聯合報 5/14)
https://udn.com/news/story/7241/3811402?from=udn-catebreaknews_ch2

◎台南市MRT計画、7割の市民が賛成(中時 5/8)
https://www.chinatimes.com/realtimenews/20190508001530-260407?chdtv

■社会
◎凱道で祝い酒!アジアで初めての大規模合同同性婚披露宴(自由報/5/25)
https://news.ltn.com.tw/news/life/breakingnews/2802050

◎お漏らしをして3歳男児虐待死、山中に遺棄(聯合報 5/14)
https://udn.com/news/story/7320/3811453?from=udn-catelistnews_ch2

■その他
◎台湾農作物販売を謳ったフェイスブック広告、実際には中国産を配送(自由報 5/12)
https://news.ltn.com.tw/news/society/breakingnews/2787803